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日本地域経済学会 学会事務局
Secretariat
ご挨拶
Greeting
2026年5月
日本地域経済学会 会長 多田 憲一郎
山陽学園大学 地域マネジメント学部
 2025年11月29日の日本地域経済学会第37回全国大会(沖縄大会)の総会で会長に選出されました多田 憲一郎です。鈴木 誠先生から会長職を引き継ぎ、これから2年間の本学会の運営に尽力させていただきます。
 新会長としての最初のご挨拶となりますので、まずは自己紹介をさせていただきます。私は、鳥取県倉吉市の出身です。鳥取県は県単位で人口や経済の規模が全国最小で、人口減少社会の最先端を走る地域です。この地域に生まれたことが私の「地域経済学」の研究を志した原点です。地元の友人たちの多くは県外に出ましたが、私は鳥取県という「故郷」が気になりました。この「こだわり」が今の私を作っています。
 私が「地域経済」に関心を持ちましたのは高校時代の頃です。大学入試が目の前に迫り、これからどんな道に進むべきか決めなければならず、大変苦しく、心悩む時期でした。その際、ぼんやり考えていますと、いつの間にか倉吉のことを考えている自分に気づきました。やはり、倉吉のことが気になるのだ、と改めて実感しました。倉吉が多くの人々でにぎわい、活気に満ちた地域になるためには、どうしたらいいのか。地域に、にぎわいを作るためには、人々が地域に定着しなければなりません。そのためには、地域に「仕事」が必要です。地域に「仕事」を作るためには経済を学ばねばならない。大変シンプルな「想い」で恥ずかしいのですが、このような動機で京都大学経済学部に入学しました。
 「地域経済」を学ぼうという想いで入学した京都大学ですが、私が入学した1980年代前半当時の京都大学経済学部には「地域経済」の名前のついた講義科目は存在していませんでした。専門ゼミを選ぶ時期となり、「地域経済」のゼミはありませんでしたので、どのゼミを選ぶか、いろいろ考えた末にたどり着いたのが「財政学」でした。鳥取県のような地方経済において、最も規模が大きく、かつ、そのお金の使い方が地域経済に大きな影響を与える「経済主体」は何かと考えたのです。それは「地方自治体」であることに気づきました。「地方自治体」は、地方圏において、人口や地域経済の規模が小さければ小さいほどその存在や影響力は大きくなります。私は、このような問題意識から池上惇先生の財政学のゼミに入りました。
 その後、大学を卒業して研究者になる前に京都府庁に入り地方財政の実務も経験しましたが、ちょうどその頃、日本地域経済学会設立の新聞記事を目にしました。1989年です。日本地域経済学会の設立の記事を拝読して感動し、当時、私は日本地域経済学会の会員でもないのに、第1回の全国大会の会場に駆けつけたことを覚えております。
 その後、私は1991年に京都大学大学院経済学研究科に入学して、幸運にも岡田知弘先生が岐阜経済大学からちょうど戻られたばかりで、岡田先生のご指導を受けることになりました。学部時代にはなかった「地域経済」関連の講義やゼミが京都大学にも開講されており、時代が大きく変化していることも実感しました。大学院時代は岡田先生のご指導の下、京都府丹後半島の山間地域の過疎現象の発生メカニズムの実証研究や過疎団体の財政構造の分析などを論文にまとめました。
 1996年には岡山市にある岡山商科大学に採用していただき、大学研究者としての歩みをスタートさせることができました。その後、幸運にも故郷の鳥取大学に採用していただき、11年ほど勤務しましたが、今年の3月で定年退職となりました。4月より岡山市に戻り、山陽学園大学の教授として現在に至っております。
 今、地域経済学の重要性は高まっています。現在は、全国の多くの大学の経済学部や政策系の学部に「地域経済学」や「地域経済論」などの科目が開講されております。私が入学した当時の京都大学の状況を考えますと、隔世の感があります。それは、日本が大きな転換点を迎えていることと無関係ではありません。人口減少や少子高齢化などの人口構造問題、原発事故の発生に伴う再生エネルギーの再評価などを含むエネルギー問題、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻、アメリカのイラン攻撃など世界平和の維持の問題、これらの紛争がもたらすサプライチェーンの崩壊とそれに伴う物価高騰や食糧の安全保障の問題など、これから解決されなければならない課題は山積しています。これらの諸課題の解決において、我が国の社会経済システムの抜本的な改革は避けて通れず、この抜本改革を考える際の手がかりを提供する科学の一つが「地域経済学」であると考えております。
 私は、本学会では、編集委員会や企画研究委員会の委員長などの仕事をさせていただきましたが、理事長の経験はありません。その意味で、このたびの会長就任はまさに想定外のできごとでしたが、第1回全国大会に駆けつけた自分自身を思い返しますと、本学会とのご縁を感じます。20代の頃の「志」をもう一度思い出して、理事長を支え、理事の皆様とともに、精一杯、会長の職務を務めさせていただきます。皆様、何卒よろしくお願いいたします。
所在地
Location
〒525-8577
滋賀県草津市野路東1-1-1
立命館大学経済学部 桒田但馬研究室
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